眠れない岩田部長

星くんが八木くんのマンションを後にした頃、岩田部長はいつもより早めに床についていました。
普段なら10分もすれば眠りにつくというのに、今夜はいろんなことが頭をよぎりなかなか寝つけません。

「昼間は星に、ああいったものの…。
よくよく考えてみれば、あいつひとりで部内の業務をすべてVBA化することは、
そもそも時間的に無理があるんじゃないか？
おそらく、ひとつのシステム開発に数週間から数か月はかかるだろう…。
ということは、年に10もシステム開発ができれば上出来…おそらく、それすらも難しいんじゃないかな…」

岩田部長は天井を見上げながら、ブツブツとひとりごとをつぶやきます。

「…ならシステム化する業務については、当然、優先順位をつけるべきだな…。
システム化したところでたいして意味のない業務は後回しで、重要かつシステム化するメリットの高い業務を優先すべきだな…。
となると、やはり星ひとりでは無理か…。
もっと業務に精通している誰かをアシストにつける必要があるな…。
部内の業務に最も精通している者となると………」

岩田部長が頭をめぐらせます。

「泉くんか！…いや、ただでさえ彼女は業務多忙で、とてもそこまで手が回らないか…。
江口くんは…、いや…彼女ではかえって足手まといか…うーーーん…」

そんなことを考えている間に、いつしか部長は眠りの世界に引き込まれていったのでした。