「VBAか…」
木枯らしの吹く街角を歩きながら、星くんはつぶやきました。
今日は2度、立て続けにその言葉を聞いたのです。1度目は直属の上司 岩田部長から、
「こないだ飲み会に行ったら、VBAってのが話題になったんだ…
なんでも仕事があっという間に終わっちゃうんだって? 星、おまえVBAってできないのか?」
2度目は向かいの席に座るOLの泉先輩から、
「あーあ、毎月この集計作業って本当にメンドー、
VBAってのを使ってパッパッ!てやれないのかしら?星くんできる?」
星くんは地方のとある製造メーカーに勤める入社3年目の新米社員です。
コンピュータに詳しい人間のほとんどいないその会社で、ExcelやAccessの基本機能を一通り知っている星くんは、みんなから期待されています。でも、そんな彼もVBAについては、チンプンカンプンでした。
「VBAか…使えたらすごく便利なんだろうなあ…」
星くんの足は自然、八木くんが住むマンションに向かいます。
八木くんは星くんの学生時代からの親友ですが、就職はせずフリーターとして暮らしています。
実はこの八木くん、仲間内から“VBAの達人”と呼ばれるほどVBAに詳しかったのです。