久しぶりに…
ピンポーン。
星くんがマンションのインターホンを鳴らします。
しばらくすると、ガチャリとドアが開き、八木くんが顔を出しました。
「…なんだ星か、久しぶりじゃないか。まあ、あがれよ」
久しぶりに部屋を訪れた星くんに、八木くんはたずねます。
「どうした星。なにかまた、困ったことでもあったのかい?」
「あはは。図星だよ、八木」
星くんはポリポリと頭をかきながら、今日、会社であった出来事を八木くんに話します。
「…とまあ、こんな具合なんだよ。
…VBAを使ったCSVデータの取り込みって難しいのかい?」
「フン。CSVか…。
まあ、簡単といえば簡単なんだが…、難しいといえばすごく難しいね」
「なんだよ、それ」
「取り込むデータや取り込み方による…と、いったほうがいいのかな?
数十件のデータを取り込むのと、数千件のデータを取り込むのでは、わけが違う。
また、データをそのまま取り込むのと、取り込むときに何らかの処理を行うのでも、難易度が違ってくる。
そういう意味でいったんだ」
「俺のケースの場合、どっちなんだい?」
星くんが、緊張した面持ちでたずねます。
「難しいに、決まってんだろ」
八木くんは、こともなげに答えました。
「はあ…。そうか、やっぱりなあ…」
星くんは、がっくりと肩を落としました。