星さん、知ってます?
「…ところで星さん。知ってます?泉さんとオーグチさんの、う・わ・さ」
「へ?」
星くんはキョトンとした顔で、頭をかく手を止めました。
「知らないんですか?総務の人たち、みんな知ってるのに…」
「え、うわさ…って、なんだい?」
星くんが怪訝そうな顔で、岬さんに尋ねます。
岬さんは、目をクリクリさせて星くんを見つめました。
「それはですねえ………」
岬さんは、いきなり両手をパンと合わせると、思い出したようにいいました。
「あ、いっけなーい!わたし、急ぎの書類作成をたのまれてました。
星さんの修正って、定時までに終わりそうです?」
「う、うん。そのくらいには、なんとかなりそうだよ」
「じゃあ、わたし今日残業します。
定時からCSV取り込みの、打ち合わせをしてください。
うわさの話もそのときに…。では、よろしくお願いします!」
ペコリと頭を下げると、岬さんはそそくさと去っていきました。
「あ!…ちょ、ちょっと。………行っちゃったか。
しょーがない、今日は俺も残業するか…。
でも、先輩とオーグチさんのうわさって………なんだい?」
星くんは、胸のあたりがモヤモヤとしましたが、とりあえずエラーの修正を完了させることにしました。