付き合ってたりするんですか!??
泉先輩が目を真ん丸に見開き、きょとんとした顔で星くんを見つめます。
次の瞬間、ブッと吹き出しました。
「付き合ってる?オーグチさんと私が?ぶひゃひゃ…!!
いったいどこから、そんな話が出てきたのよ!」
今度は星くんが目を真ん丸に見開きました。
「…いや…そ、総務のほうでちょっと小耳にはさんだんです。
…ち、ちがうんですか?」
泉先輩は目尻を指で拭い、ようやく笑い終えました。
「…あなたがね、入社する少し前にオーグチさんにモーレツにアタックされてたときがあったの。
結婚を前提に付き合ってほしい!…とかね。
でも彼、普段からあんな調子でしょ。
本気なのか冗談なのかよくわからないし、そもそもタイプじゃないから、ソッコーでお断りしたわ。
…そのころかしら、私とオーグチさんが付き合ってるってうわさが流れたの。
まだ、そんなうわさが残ってたのね。驚いたわ」
「…じゃ、じゃあ。オーグチさんとは…」
「オーグチさんどころか、今は誰ともお付き合いしていません。
…でもなんであなたが、そんなことを気にするの?星くん?」
泉先輩がぐっと顔を近づけて星くんにたずねます。
星くんの心臓はバクバクと音を立て、今にも破裂しそうでした。
「…そ、それは………その…。
お、俺…泉先輩のことが…」
ガチャリと事務所のドアが開き、岩田部長が入ってきました。
「…なんだ、二人して残業か。ごくろう、ごくろう。
…悪いけど、ワシは先に失礼するよ。ごゆっくり」
部長はカバンを手にすると、スタスタと事務所から出ていきます。
星くんと泉先輩は顔を見合わせると、プッと吹き出しました。