生産計画表への内示数入力
「今までこの内示数はすべて紙ベースの書類で、俺たち営業課の人間がもらってきて、
生産管理課の作ったExcelの生産計画表に1製品ずつ手入力してた。
月に3000件を超える受注があるため、この内示数の入力作業は正直しんどい…
できれば自動化したいと、ずっと思ってたんだ」
小口さんの伝えようとしている内容が、だんだんと星くんにもわかってきました。
「…でも、小口さん。データの入力は…」
星くんが話そうとするのを、岩田部長が手でさえぎります。
「わかってる。
紙ベースで内示数をもらっている以上、誰かが入力しなければならないといいたいんだろう?
…だから小口君に、内示数をCSVデータでメール送付してもらえるよう、A社に頼み込んでもらったんだ」
「…C、CSVデータですか…」
「そうなんだよ、星。苦労したんだぜ。
いやがる担当者を説き伏せ、なんとかメールで送ってもらえるようにしたんだ。
あとは、これをおまえの得意な"VBA"とやらで、一瞬で生産計画表に取り込んでくれさえすればいいんだ!」
「(簡単にいってくれるなあ…)」
星くんは心の中でそうつぶやき、苦笑しました。
CSVデータは3000件以上、しかも1製品の内示数は1件とは限らず、納品数・納期もバラバラなので、
取り込みが一筋縄でいかないことは、星くんにも容易に想像がつきました。
「ホント、苦労したんだよ星…。
1か月以上前から粘り強く担当者を説得したんだ」
「…ん。1か月以上前ってことは…
小口さん、あのデモを見る前から、この話を進めてたってことですか?」
星くんが、不思議そうに尋ねます。