早くしないと…
エラーの修正もあらかた終わり、テストデータを使って何度も動作テストを繰り返したあと、
星くんはウンとうなずきました。
「よし!動作テストも完ぺきだ!これでもう、同じ不具合は起きないぞ。
以前のファイルと間違えないように、バージョンを1つ上げておくか」
星くんは、「Ver.100」だったバージョンを、「Ver.101」に変更しました。
「…この最新版を、先輩に渡して…。
と、もう定時か、早くしないと先輩が帰ってしまう!」
星くんは急いで泉先輩の席に向かいます。
しかし席は、すでにもぬけの空でした。
「…あちゃーーっ!一足、遅かったか…。
まあ、いいや。明日、朝一でファイルを渡すことにしよう…」
星くんが泉先輩の席をボーッと眺めていると、向こうから岬さんがやってきました。
「星さん。修正作業、終わりました?
今から、CSV取り込みの打ち合わせしても、いいですか?」
「あ…。うん、修正はもう終わったよ。
残念ながら、ファイルは渡せなかったけどね。
…じゃあ、今から打ち合わせを始めようか」
星くんは自分の席に戻り、岬さんと打ち合わせを始めました。
「…とまあ、こんな具合なんだよ」
星くんは、昨日八木くんから教わったCSV取り込みのコードを、一通り岬さんに説明しました。
「すっごーーーい!!こんな簡単に、CSVが取り込めちゃうんですね!!」
岬さんが目を丸くします。
「…まーね。
簡単とはいってもバリアント変数の、どこにどんなデータが格納されているのか、
常に意識しなきゃならないけどね…」
星くんは、フンと鼻を鳴らします。
「じゃあ、こんなこともできちゃうんですかあ?」
岬さんが、PCのキーボードに手を伸ばします。
彼女の体がくっついて、星くんはドキンとします。
カタカタカタカタ…。
岬さんが、星くんのコードを書き換えていきます。