イメージしてたのと違う…
お昼休みが終わり、星くんが午後の仕事に取り掛かろうとしたとき、オーグチさんがやってきました。
「星。おまえの作ったシステム、試してみたよ。
先月の内示データを丸ごと客先からもらい、実際に取り込んでみた…。
うん、よくできてるよ。
ボタン一つで、魔法のようにデータが生産計画表に取り込まれていった…。ただなあ…」
オーグチさんの表情はイマイチ、パッとしません。
星くんの額に、ジワッと汗がにじみました。
「ただ………なんですか?」
「…うん。せっかく作ってもらって、こんなこと言うのもアレなんだが…。
星、データを取り込むスピード、もう少し早くならんのか?
…なんか、俺のイメージしてたのと違うんだよなあ…」
星くんの額の汗がツーーッと、頬を伝って落ちていきます。
「…取り込み速度、遅いんですか?」
「うん。まあ、俺の使っているPCが古いっていうのもあるんだけど…。
取り込みが始まると数分間、ウンともスンとも言わなくなるんだ。
最初、PCがこわれたのかと思ったよ」
星くんはオーグチさんから、先月分の内示データを受け取ります。
「もっと…ボタンを押したら、パッ!
…と、生産計画表にデータが取り込まれるのをイメージしてたんだよなあ…。
星、そこんとこ…よろしくな!」
軽いノリでそう言うと、オーグチさんはスタスタと自分の席へ戻っていきました。
「ウンともスンとも言わなくなる…??それって…」
星くんは大急ぎで、オーグチさんからもらったデータの取り込みテストを準備します。
「データ件数は3156件だな…。
よし!取り込みテスト、スタートだ!」
マクロを実行し、データの取り込みを開始します。
…しかしいくら待っても、データの取り込みが完了する様子はありません。
「…ちょ、ちょ。…どうなってんだ、コレ?
オーグチさんの言うとおり、本当にウンともスンとも言わなくなっちゃったぞ…」
星くんは[Ctrl]+[Break]キーを押し、マクロの実行を中断します。
画面がデバッグモードに変わり、マクロの実行が一時停止しました。
「…フリーズしてるわけではないんだな。
でも、これではどこまで取り込みが完了したのか、さっぱりわからないぞ…」
星くんは現在のマクロをキャンセルすると、プロシージャに次のコードを追加しました。