処理する件数と適したコード
ランランと輝かせた瞳で、岬さんは星くんを見つめます。
「…いや、土曜日までまだ二日もあるだろ?
…その間、開発をストップするわけにはいかないよ。
大丈夫、原因については俺のほうで今日中に調べるから…」
星くんがそっけない態度でそう答えると、岬さんはぐぬぬ…とこぶしを握りしめました。
離れたところからこの様子を眺めていた泉先輩は、ホヘーと薄ら笑いを浮かべています。
「八木、いるかーーー!?」
八木くんのマンションに転がり込んだ星くんは、会社でテストした結果を伝えました。
「…やっぱりそうか。
データの件数を聞いたとき、イヤな予感がしたんだ…」
八木くんは、表情を曇らせてそう言います。
「…いったいどうして、こんなに時間がかかるんだい?
…俺のマクロ、どこか間違ってるのかい?」
星くんは、すがるような目で八木くんにたずねます。
「…いや。おまえのマクロは間違ってないよ。
…ただ処理する件数によって、"適したコード"と"適さないコード"というものがあるんだ。
………ちょうどいい機会だ。マクロの高速化について、話してやろう」
「マクロの高速化………!?」
星くんはゴクリと、のどを鳴らしました。