なくなってしまうんじゃないですか?
「なるほど。
岩田さんのおっしゃりたいことは、だいたい理解できました。
……でも岩田さん?
システム企画室をつくって社内のほとんどの業務をVBA化したら、その後はどうなるんです?
システム企画室のやることが、なくなってしまうんじゃないですか?」
若がちょっといたずらっぽい顔をしながら、岩田部長に尋ねました。
「…そのときは、他社のシステムを受注開発すればいいでしょう。
似たような業務形態の製造業は、ゴマンとあります。
我が社での成功事例が、最も説得力のあるモデルケースになるはずです。
システムを企画、開発するためのノウハウも、
その頃には掃いて捨てるほど蓄積されているでしょう。
……あと、その際の営業はぜひ、私にやらせていただきたい」
若があんぐりと口を開け、岩田部長を見つめました。
そして次の瞬間、破顔すると、体をゆすって笑い出しました。
「……まいりました、岩田さん。
そこまで考えてるんですか……すごいなあ……。
我が社の事業内容に、システムの受注開発が加わる日を想像すると、胸が熱くなります。
わかりました。今日の話の内容を、しっかりと社長に伝えます。
少し、お時間をいただけますか?」
若と岩田部長の会話を隣で聞いていた星くんは、
話のレベルについていけず、目を白黒させています。
「(ど、ど、ど、どうなってんだ一体!?
今日は、これからのVBA開発に関する、技術的な打ち合わせをするんじゃなかったのか??
……システム企画室がどうたらとか、他社のシステムがどうたらとか……、
一体全体なんの話なんだよ……!!)」