岩田部長は大忙し
岩田、梶田の両部長が握手を交わしてから、数週間が過ぎました。
会議室では、岩田部長が来月の経営戦略会議に向けて、
システム企画室新設の議題を提起する準備に追われています。
「シートを左端にコピーするには、"Before:=Sheets(1)"の引数を、
右端なら、"After:=Sheets(Sheets.Count)"の引数を、Copyメソッドに指定するっス」
「はい、正解」
その頃事務所では、森川くんと岬さんがベーシックの試験に向けて、
最後の追い込みの真っ最中です。
「最近、リニューアルしたって聞いてたけど…。
私のときより、内容が実践的になってるわね…」
岬さんは興味深そうに、新しくなった公式テキストをパラパラとめくります。
たとえば、Sheet2を左端へコピーするというのは、次のように考えられます。
Sheets("Sheet2").Copy Before:=現在の左端にあるシート
現在左端にあるシートは、シートの位置を表す数値が「1」です。
Sub Macro8()
Sheets("Sheet2").Copy Before:=Sheets(1)
End Sub
<中略>
シートの個数はSheets.Countで取得できます。
したがってSheet2を右端にコピーするには、次のように考えます。
Sheets("Sheet2").Copy After:=右端のシート
↓
Sheets("Sheet2").Copy After:=Sheets(3)
↓ この「3」はシートの個数(Sheets.Count)
Sheets("Sheet2").Copy After:=Sheets(Sheets.Count)
< ベーシック公式テキスト P157~P158 >
「じゃあ、森川くん。
BeforeとAfterどちらの引数も指定しなかったとき、シートはどこにコピーされると思う?」
「ええっと……そのときは……」
森川くんは目を閉じて、記憶の糸をたどります。
「……ああ、そっか!
そのときは、新規ブックが作られて、そこにコピーされるっス!」
岬さんはニッコリと微笑むと、大きく首を縦に振りました。
「うん!明後日の試験、あなたなら大丈夫よ。きっと合格するわ」
「あ、ありがとうございますっス!」
森川くんは赤らめた頬を、ポリポリと掻きました。