なんで知ってんの!?
「え!?な、なんで、2人とも知ってんの!?」
「なんでって、掲示板に辞令が貼り出してあるじゃない。
ひょっとして、星くん知らないの?」
「…い、いや。さっき部長から聞いたけど…」
自信のなさそうな顔で、星くんは頭をポリポリとかきました。
「すごいじゃない、星くん。
主任として、ガンガン!みんなを引っぱってってもらわなきゃね!」
「そうですよ。しゅ~に~~~ん!」
2人はニタニタしながら、星くんをからかいます。
あきらかに、面白がっている様子です。
ちょうどそこに、江口さんが通りかかりました。
「あ。これは、これは、星主任殿!昇進、おめでとうございます!」
「たのむから、星主任はやめてくれよ。
今まで通り呼んでくれる?」
「そうですか?じゃあ、星さん。
知ってます?業務改善部隊に新人が入るらしいですよ?」
「えええ~~~~~~!!??」
3人は口をそろえて、大声をあげました。
「業務部には3名、新人が入るんですが、そのうちの1人が、業務改善部隊に配属されるみたいです。
…なんでも理工学部の情報学科を卒業した、実力派らしいですよ!?」
「じょ、情報学科……なんでそんなスゴそうな奴が、ウチの会社に来るんだよ…」
星くんの脇に、冷や汗が流れます。
「え~~~!情報学科卒ならVBAなんてお茶の子さいさいで、できちゃうんじゃないの?
……星くん、あなたリーダーお払い箱だわ」
泉先輩が、気の毒そうな顔で星くんを見つめます。
横で岬さんが、コクコクとうなづきました。
「え!?…いや、その、ちょっと待ってくださいよ!?」
星くんは、本気で焦っています。
ちょうどそのとき、岩田部長が1人の新人と事務所に入ってきました。