週イチはちょっと寂しい
「会える日が週イチになったのはちょっと寂しいが、まあ、しょうがないか」
八木くんは掃除機を片付けると、いれたての八木特製ブレンドを片手に、パソコンの前に腰を下ろします。
「よっこいしょっと。
…まあしかし、あの星がスタンダードに合格か……よくがんばったもんだ。
…そうか、あれからもう1年以上たってるのか…」
彼はズズーッとコーヒーをすすると、遠い目をして昔のことを思い出します。
「"オブジェクトってなに?"とか、"変数ってなんで必要なんだよ!?"とか言ってたっけ。
もう大昔のように感じるけど、まだそんなに前の話ではないんだな…。
その星が、いまやVBA開発チームのリーダーか…。
たいしたもんだ」
八木くんはブラウザを立ち上げると、ネットバンキングのページにログインします。
そして、ネットショップの入金口座の残高を確認しました。
「……もう俺が星の力になれることは、あまりないのかもしれないな。
…そろそろ俺も、次のステップに進むことを考えないとな……」
表示された口座残高を見つめながら、彼は静かにつぶやくのでした。