キミはいつも元気ね
「先輩、おはようございますっス!」
元気いっぱいの森川くんが、岬さんに挨拶します。
彼女もニッコリと微笑んで、挨拶を返しました。
「おはよう、森川くん。
キミは、いっつも元気なのね」
森川くんは嬉しそうに頬を染めます。
若干、皮肉のこもった返しでしたが、先輩に好印象を持たれたと彼は解釈したようです。
「昨日渡したテキスト、読んでみた?」
「はい!まだベーシックだけですけど、目を通してみたっス」
「ほうほう。どのあたり目を通したの?」
森川くんは、テキストの目次を開き、指をさします。
「えっとですね。
…1章の"マクロとVBAの概念"、4章の"VBAの構文"、6章の"セルの操作"、
9章の"ブックとシートの操作"は、ざっと目を通しました」
「すごいじゃない。2章の"マクロ記録"は、読んでみなかったの?」
「はい。これって、操作を自動でコード化する機能のことですよね…。
この手の機能を持った開発ツールを使ったことがあるんですけど、正直使いものにならなかったっス。
調べる機能として割り切ったほうがいいと思って…。
後回しにしたっス」
「(フ~~ン。いいセンスしてるじゃない、この子)
…そうね。あなたが今言ったのと同じことが、テキストの"2-4 マクロ記録の限界"に書いてあるわ」
岬さんは森川くんからテキストを取り上げると、ペラペラとページをめくります。