秘密会議の真っ最中
「飲み会の席をセッティングしてもらうよう、若に打診しましたよ」
「なんで俺が、アレと飲まなければならんのだ…」
会議室では、岩田部長とオーグチさんが秘密会議の真っ最中です。
「だって岩田さん。
ブイビーエーは今のままでは、いつまでたっても"業務部の改善活動"の域を出ませんよ」
「それは……、わかっとる。
元々は、社長賞欲しさに始めたことだからな。
ここまで本格的な話になるとは……正直、計算外だった」
「…星に岬さん、スゴイじゃないですか。
それにホラ、今度入った新人の…森山?」
「森"川"だ。こないだ役員会議で、総務部長にイヤミを言われたよ。
"業務部はシステム開発が仕事ではないだろう"……って。
自分トコの電算室がろくすっぽ開発もしないくせに…、居丈高なもんだ」
岩田部長は、苦虫を噛みつぶしたような顔をしました。
「社長の反応は、どんな感じなんです?」
「社長の反応は、思いのほか良い。
"組織の垣根を超えた活躍を期待している"…だそうだ」
オーグチさんが、机の上に身を乗り出します。
「ほら!…やっぱり社内での、キチンとした立ち位置が必要ですって!
例えば、"業務企画室"のような…」
「"業務企画室"というより、"システム企画室"だな。
どちらにしろ全社的な動きをするとなるとあれだ……、電算室との折り合いが難しくなるな…。
しかしなあ……若と飲むのか…」
「口幅ったいようですが、こうでもしないと、百年たってもこの会社は変わらないですよ。
若もその辺り、やぶさかではないみたいですし……胸襟を開いて語り合ってみましょうよ」
オーグチさんは気乗りしない部長に対して、粘り強くアピールします。