リスト入力の補助機能
「星、忙しいとこ悪いな。
…こないだ話してたリスト入力の補助機能。こんな感じで考えてみたんだ」
オーグチさんは紙に書いた図を使って、星くんに説明を始めます。
「こんな感じで、出荷一覧リストの項目名と、リスト設定シートのリスト名が一致したときに、
自動的に入力用のリストを使えるようにしたいんだけど……できそうかい?」
星くんは、図をマジマジと見つめます。
「……多分、できると思います。
入力用のリストは、"データの入力規則"にある"リスト"でいいんですよね?
……問題はどーやって、リストの元の値となるセル範囲を指定するかだな……」
「おもしろそうじゃない。それ、私にやらせてよ」
いつの間にか泉先輩がやってきて、星くんの後ろから、オーグチさんの書いた図を覗きこんでいます。
「せ、先輩!いつの間に…。
でも、どうやって作るんです?大丈夫ですか?」
「リストの設定は、イベントプロシージャを使って、
セルの選択範囲を変えたタイミングでやればいいじゃない。
リストを設定するコードは、"データの入力規則"を実際にやってみて
"マクロの記録"で記録すれば、すぐにわかるんじゃないの?
…そんなに難しくないわよ。きっと」
自信満々でそう言う泉先輩を、星くんは複雑な表情で眺めます。
「(なんで、そんなに自信タップリなんだよ…先輩。
スタンダードを取得したからか?
……実際の開発では、考えなきゃいけないことが山ほどあるんだけど…。
ま、いいか。いざとなれば、俺がフォローすればいいんだし…)」
星くんの頭の中に、プログラム完成までの様々な工程が瞬時に浮かびます。
しかし、せっかく先輩が名乗り出てくれたのに、これを突っぱねることはチームのためにならない、
と彼は判断しました。
「……わかりました。
じゃあ先輩、この部分の開発をお願いできますか?」