目からウロコだよ
「…なるほどなあ、こいつは目からウロコだよ。
こんな簡単なこと、なんで思いつかなかったんだろ?」
「あたしたち、Excel VBAだからって、Excelの機能を使うことにこだわりすぎてたのかしらね。
森川くんは大学でプログラムの勉強をしてるから、こういった発想がすぐ浮かぶのかも……
ちょっと、悔しいわね」
岬さんが、腰に手を当てながらため息をつきます。
隣では泉先輩が、無念そうな顔で画面を凝視しています。
「森川くん。
この案件、チャレンジしてみるかい?
初めての開発には、ちょっと荷が重いかもだけど…、
そこは岬さんがフォローしてあげるということで」
「え!?自分が開発しても、いいんですか?星主任!」
森川くんが、キラキラとした眼差しで星くんを見つめます。
「うん。VBAの学習も、かなり進んでるみたいだし。
そろそろ、実際の開発に携わってもいいんじゃないかな……
岬さん、アシストしてあげてくれる?」
「もちろんですよ、まかせてください!」
岬さんが、バンと胸をたたきます。
「森川くんの、初仕事ね!
一緒に、がんばろうね!」
「よ、よろしくお願いしますっス!」
森川くんが、真っ赤な顔をして岬さんの言葉にうなずきます。
そんな彼の様子を見て、泉先輩がクスリと笑いました。