トップ > 資格を活かすには > やってみよう!Excel VBAで業務改善! > 次なるイノベーション編: 第23話「伝家の宝刀」4/4 :困ったことでもあったんかい?

やってみよう!Excel VBAで業務改善! 次なるイノベーション編|第23話 「伝家の宝刀」

困ったことでもあったんかい?

「君の方から声をかけてくるとは珍しい…。
なんぞ、困ったことでもあったんかい?」
会議室のドアを開け、初老の紳士が入ってきました。
彼は米谷さん。
この会社の非常勤顧問です。

「お忙しい中、恐れ入ります顧問。
折り入って少し、ご相談したいことがありまして…」
岩田部長は席を立つと、深々と頭を下げました。

「やめやめ。
…非常勤の顧問に忙しいことなんかあるかい。
仕事だったら大歓迎だぞ」
米谷顧問はそう言うと、笑いながら席に着きます。
彼は社長の学生時代からの友人で、以前は主要取引先の資材部長を務めていました。
会社の中で唯一、社長の頭が上がらない存在です。

「以前の改善プロジェクトでは、大変お世話になりました。
最近、また面白いことをやってるんですよ」
「例のVBA…とかいうやつかい?」 「……!
ご存知でしたか、顧問…」
岩田部長は顧問に、これまでの開発の経緯を説明しました。
そして今問題になっている、梶田部長の電算室との軋轢についても伝えました。

「…なるほどなあ。
それでおまえさん、一体どうしたいんだい?」
「次の経営戦略会議で、システム企画室新設の議題を提起しようと思います。
…ただその前に梶田部長とは一度、胸襟を開いて話し合わなければ…と考えてます」
「ほう。どうやって、梶田くんを説得する?」 「VBAによる開発が、現在のコンピューティング環境において、いかに効率的で優れたものであるか……
理解してもらえるよう、粘り強く説明するしかないかと…」
米谷顧問は窓の外に視線を移します。

「…それでは、梶田くんは納得しないだろうなあ。
岩田くん、君は肝心なことを一つ忘れとるぞ…」
日脚の伸びた夕刻の街角を眺めながら、米谷顧問はそうつぶやきました。

第24話「根回しの本質」に続きます

文・イラスト / 武藤 玄
ご意見やご感想の投稿はこちら

一覧にもどる