岬さんは、大正解
「(先輩スゲえ!…そんなところまで、考えてるのか…)
わかりましたっス!
比較方法に、"vbTextCompare"。
忘れずに指定します!」
森川くんは岬さんに、尊敬の眼差しを注ぎます。
岬さんは微笑みながら手を振ると、自分の席に戻っていきました。
星くんはそんな二人の様子を、仕事の手を止めてジッと伺っていましたが、
安心したように作業に戻りました。
「(岬さんを森川くんの教育係にしたのは、大正解だったな。
森川くんも、岬さんのことを慕ってるみたいだし…)」
「モリリン、がんばってるじゃない。
岬さんの教育がいいのかしらね?」
泉先輩が机の向かい側から、星くんに話しかけます。
「あ…、はい。俺も同じことを考えてました。
彼女、教育担当にうってつけですよね」
「あー。私もスタンダードのときには、ずいぶんお世話になったわ。
確かに、教えるのうまいわねー」
泉先輩は懐かしそうな表情を浮かべて、視線を天井に向けます。
「彼女が優秀過ぎて、俺の出る幕が無いですよ…」