江口さんは大忙し
それから、数日がたちました。
江口さんは、朝から在庫リストの修正作業で大忙しです。
「まったく……いくらVBAで修正しても、現場が隠し在庫持ってるから、結局は手修正が必要なのよね~。
それにしても先輩、朝からブツブツと随分熱心にやってるわね……」
江口さんの後ろの席では、泉先輩がオーグチさんから依頼された「リスト入力の補助機能」の
仕上げ作業を行っています。
「キャーー!こっちもオッケーだわ!!」
パチーン!と両手を大きくたたく音に、江口さんはビクッとして振り返ります。
「…先輩、大丈夫っスか?
…蚊でもいるんですか?」
「ああ…ゴメンゴメン、ダイジョブだから気にしないで…」
泉先輩が照れ笑いをしながら、手をヒラヒラと振ります。
「(これと似たことを、星さん相手にやった気が…。デジャブ……って奴っスか??)」
江口さんが怪訝そうな顔をしながら視線を移すと、
向かいの席では岬さんと森川くんが、今日もVBAの勉強にいそしんでいます。