VBAの勉強会
研修を続ける二人のところに、星くんがやってきました。
「あ、ちょっといいかな?
…このあと、VBAの勉強会があるんだけど、森川くんも一緒にどうだい?」
星くんがそう話しかけたとき、定時を告げるチャイムが鳴り響きました。
「…勉強会……っスか?」
チャイムが鳴り響く中、森川くんが怪訝そうな表情で星くんを見つめます。
「うん。金曜日の退勤後、俺の友人で八木というやつのマンションに集まって、
VBAの勉強会をやってるんだ」
「八木っち、スゴイのよ。
VBAの達人なの!」
星くんの後ろから、泉先輩が口を挟みます。
彼女のとなりに立った岬さんは、モジモジと落ち着かない様子で体を動かしていました。
「…いや、やっぱりイイっス。
業務時間外まで、拘束されるのはちょっと…。
残業代も出ないって話ですし…」
森川くんはかぶりを振ると、そそくさと帰り支度を始めます。
「そ、そうかい。
…気が変わったらいつでも、参加してくれていいんだよ」
未練たらしくそう伝える星くんの背後で、岬さんはホッとした顔で胸をなでおろすのでした。