翌日になりました

翌日になりました。
星くんからオーグチさんの案件を任された森川くんは、意気揚々とパソコンに向かいます。

「初めての仕事がVBAによる開発か…、学生時代は想像もしなかったな」

森川くんは、"営業進捗管理一覧"ブックの進捗一覧表をまじまじと見つめながら、そうつぶやきました。

「岬先輩がいるからVBAの仕事は楽しいけれど、もし先輩がいなかったら…俺。
本当に、こんな事やりたいんだろうか…」

森川くんがExcelを操作しようとしたその瞬間、岬さんが声をかけました。

「…あっと、森川くん。
開発をするときは、いつでも元の状態に戻せるように、
開始前のブックをコピーして、必ずバックアップをとっておくのよ」

気がつくと彼の後ろに岬さんが来て、作業の様子を覗いています。
森川くんは、独り言を聞かれたのではないかと動揺します。

「は、はい。わかりましたっス！」

彼はあわてて、作業前のブックのバックアップをとりました。
そんな二人の様子を、離れた場所から眺めていた星くんは、

「岬さん、さすがだな…。新人の教育担当にうってつけじゃないか！
…彼女に任せておけば、大丈夫だ」

ウンウンとうなずきながら、そうつぶやきます。