森川くんの教育係
「…岬さん。
前に、新人の教育係をやりたいって言ってたよね?
森川くんに、VBAの基本的な部分を、教えてあげてくれるかい?」
「え!?本当ですか!!
…あたしが教えちゃって、いいんですか!!??」
キラキラと瞳を輝かせながら、岬さんがうれしそうに答えます。
「うん。彼がどのくらいVBAを理解してるか知りたいし…。
森川くん。Excel VBAに関しては、大学で何か学んだかい?」
「…いえ。
VBAどころかExcelさえも…ほとんどさわったことがないっス」
森川くんは申し訳無さそうな顔つきで、そう答えます。
「なんだ、そうなんだ。
…じゃあ、岬さん。
VBAは変数や配列、繰り返し処理や条件分岐などの基本構文を、
それと一緒にオートフィルやワークシート関数なんかのExcelの一般知識も、
教えてあげてくれるかい?」
岬さんは満面の笑みを浮かべながらうなずくと、森川くんの隣にちょこんと並びます。
「はじめまして。
あたし、岬マコ。
今日からしばらく、あなたの教育係を務めます。
よろしくね」
「よ、よろしくお願いしますっス!」
「じゃあ、私の席で教えるから、自分の椅子を持ってきてね」
そう言うと、岬さんは森川くんを自分の机に案内します。
彼女はExcelを立ち上げ、VBEの画面を開くと、カタカタとコードを入力していきます。
「プログラミングの初歩は、大学であらかたマスターしてるのね。
じゃあ早速、このコードなんだけど…。
2行目でLong型の変数iを宣言しています。
3行目で変数iに…」
岬さんによる森川くんの、VBAの研修が始まりました。