それぞれの家路
「うんうん。これができないと、高度なプログラミングは不可能だ。
……Functionプロシージャは、スタンダードで解説してるのか…、
ちょっと覗いておこうかな…」
森川くんはスタンダードのテキストを取り出すと、Functionプロシージャの解説ページを探します。
「じゃあ、星。
ゆっくりでいいから、前向きに検討してくれよな」
パスタ屋から出てきた二人は、それぞれの家路につきます。
「……わかった。
考えておくよ、八木。
……パスタ、ごちそうさま………」
星くんは力なく手を振りながら、駅に向かって歩き出します。
ベンチャー設立のアウトラインを聞かされ、経営パートナーの熱烈なオファーを受けた彼は、
途中から頭がオーバーヒートしそうでした。
「だめだ…、食べたペペロンチーノの味を、全く思い出せない……」
どんよりと暗い顔をしながら、星くんはトボトボと歩き続けるのでした。