梶田部長の眉間のシワが…
総務部の朝礼を終えデスクに戻った梶田部長は、
パソコンの起動画面を眺めながら昨日のことを思い出しています。
「(…またぞろ、例のVBAか。星にしろ岬くんにしろ、最近はそればかりやってるようだし。
業務部の本来の仕事はシステム開発ではないだろう…)」
画面を睨む梶田部長の眉間のシワが、どんどん深くなっていきます。
「(電算室が少ない予算で、どれだけ苦労してると思ってるんだ。
現場から、担当者から、さんざんイヤミを言われて…)」
顔を上げると、廊下を歩く社長の姿が目に映ります。
梶田部長は席を立つと、社長の元に歩み寄りました。
「おはようございます、社長。少しよろしいですか?」
梶田部長は社長に、最近の業務部の動きについて、懸念に感じていることを率直に打ち明けます。
「新入社員の森川に対しては業務の指導も行わずに、VBAの研修をしているありさまです。
……困ったもんだと思ってるんですよ。
業務部の連中がコソコソやって、基幹システムとの整合性なんて考えもしないでしょう?
勝手にシステムを作られても、こっちには一言の相談も無いですし、
フォローのしようがありませんな……」