二人はしばらく無言で、モニターをみつめていました。
やがて八木くんが静かな口調で語り始めます。
「おめでとう…星。…ついにおまえのVBAによる初めてのシステムが完成したな」
星くんが、ゆっくりとうなずきます。
「…完成したといっても、このシステムはまだまだ"生まれたてのヒヨコ"のようなものだ。
おそらくこれから、山のようにエラーが出るだろう。
そして"こうしてほしい!"というリクエストも、山のように出てくるはずだ。でも、大丈夫。
それらはシステムを完成されたものへ導いてくれる、大切な"道しるべ"なんだ!」
八木くんも、ゆっくりとうなずき返します。
「…だからまず、このシステムをリリースするんだ。
…みんなに使ってもらいながらエラーを直し、機能を追加し、どんどんバージョンアップさせていく…
そしていつの日か、本当の意味でシステムを完成させるんだ!
業者が作ったおしきせのシステムなんかじゃない!
自分たちで作った世界にたった一つのシステム、自分たちが本当に使いやすい最高のシステムを作り上げるんだ!」
「やるよ、八木!おまえがいてくれたら、俺はやれる!…みてておくれよ!」
二人はがっしりと手を握り、満面の笑みを浮かべました。