その夜、星くんは八木くんに借りたVBAの入門書を読みふけりました。
しかし難解な内容にすぐに眠気が襲い、1時間も読まないうちにウトウトと眠り込んでしまいます。
翌日、会社の昼休みに星くんは岩田部長から声をかけられました。
「おい星、そういえば昨日話した"VBA"、あれどうなんだ?おまえ、できそうなのか?」
星くんはギクリとします。
岩田部長が2日続けて同じ話をするなんて滅多にありません。
よほどVBAのことが気にかかるに違いありません。
「は…はい、部長!今、調べて勉強している最中です!」
「そうか早速、勉強してるのか。わかったら俺にも報告するんだぞ」
岩田部長は満足そうですが、星くんは心中穏やかではありません。
この日、終業のチャイムが鳴ると同時に、星くんはダッシュで八木くんのマンションに向かいました。
「おーい。八木、いるかー?」
「星か。いるよ、あがれよ」
星くんは、ドタバタと八木くんのマンションに上がり込みました。
「昨日貸した本、早速読んだかい?」
「うん。まだ30ページくらいだけどね…」
「それでどうだった?わからないところはあったかい?」
「まあね…。というより、わからないとこだらけだったよ…」
星くんが頭をかきながらそういうと、八木くんはプッと吹き出しました。