「ぷはーーーっ!!」
ジョッキのビールを飲み干した、泉先輩が大きく息を吐き出しました。
「悪いわね江口さん、おごってもらっちゃって」
「いいんですよ、泉先輩。どんどん飲んじゃってください」
会社帰りの居酒屋で、泉先輩と江口さんが盛り上がっています。
「今回はご迷惑をおかけして…ホントすいませんでした」
「いいのよ、もう気にしてないって。星くんがパパッとVBAで片づけてくれたしね。
それはそうと、彼は誘わなくてよかったの?」
「そーするつもりだったんですが…星さん定時になったら、あっという間に帰っちゃって…」
そばにいた店員さんに、江口さんが追加のビールを注文しました。
「最近、星くん帰りはやいよね。家に帰って、VBAの勉強でもやってるのかしら…?」
泉先輩がそういうと、江口さんはプッと吹き出しました。
「プハッ!まさか~~!?でも、今日の星さんすごかったですね。
VBAでアッという間に終わらせちゃって…見直したっス」
「うん…ちょっとね、かっこよかったかな…彼」
上機嫌の泉先輩に、追加のビールが運ばれてきました。
「さー先輩、どんどん飲んじゃってくださいよ~」
「悪いわね江口さん。今度は、あたしがおごるからね~」
泉先輩は、うれしそうにジョッキを口に運びました。
そのころ…八木くんのマンションでは、コーヒーを飲み終えた星くんが、
同じ質問を八木くんにくりかえしていました。
「同じVBAで作るのに、プログラムと業務システムで考え方が違ってくるって… どういうことだい?」
八木くんはニヤリと笑うと、星くんのほうに向かってまっすぐに座りなおしました。
「うん。ここんところは、これからVBAの開発をしていくうえですごく重要な概念だから、詳しく説明するよ。
言葉の定義の問題もあるけど…一般的に"プログラム"というのは、
コンピュータになんらかの処理をさせるために記述された"命令の集まり"をさすんだ。
前にも話したけど、VBAのプロシージャは、プログラムを構成する最小の単位だ。
つまり普通、プログラムは1つ以上のプロシージャの集まりで作られてるよ」
「そっか…俺が作った泉先輩のプログラムは、たまたま1つのプロシージャで対応できたけど、
場合によっては、複数のプロシージャを組み合わせて処理しなければならないケースもある…ってことだね」