日が沈み、あたりがすっかり暗くなってきたというのに、星くんはまだ八木くんのマンションにいます。
「オーケイ、変数というのはね…」
八木くんが丁寧に、変数の説明を始めました。
「そうだなあ…、もし仕事中に取引先から電話がかかってきて大事な要件を伝えたとする。
星、おまえならどうする?」
「…そりゃ、もちろんメモをとるよ」
「だよな、普通メモをとるよな。でもそれは何のためだい?」
「大事な要件を忘れないようにするためだろ」
星くんが当たり前だ、という顔をして答えます。
「うん。忘れないようにするということは、その情報を後から使う必要があるからだよね?
プログラムの中でも同じように、後から使いたい情報(値)というのがあるんだ。
例えば、ユーザーが入力した文字列とか、ある処理の結果導きだされた数値とかね。
こういった値を"リテラル"と呼ぶんだけど、そのときは必要ないが後からこれらの値を利用したいとき、
どこかにこの値を保持しておかないといけない。そのために使われるのが変数なんだ」
「つまり変数は、メモと同じ役割をしているということかい?」
八木くんが、親指を立てビンゴ!のジェスチャーをしました。
「まさにそのとおり。変数はプログラムの中で使われる"メモ用紙"なんだ。
このメモには、どんな情報でも書き込めるし何回でも書きなおすことができる。
それに必要な数だけ何枚でもメモを作ることができるんだ」
「確かにそれは便利そうだな…でも実際にはどんなふうに使われるんだい?」
星くんが、まだイマイチよくわからないという顔をします。