「まさか八木っちと、肩を並べて仕事する日が来るとわね」
「そうですね。
なんか、不思議な感じですよね…」
泉先輩と岬さんは、入り口側に置かれた八木くんの机を眺めながら、
おしゃべりしています。
「彼。カッコいいから、女子にモテるわよ」
「えっ、えええ~~~!??
……それは、ないんじゃないですか?
だって、タラコくちびるですよ?」
泉先輩がニヤニヤしながら岬さんを焚きつけると、
彼女は口元をひきつらせながら否定しました。
「男は顔じゃないわよ。
彼…VBAの実力だけで食べていけるわよ、きっと」
「そ、それは否定しませんけど……」
岬さんは、頬を赤らめながらうつむきました。
「(ふん。あれが星主任と岬先輩の師匠、八木という人か…。
VBAの達人って、一体どのくらいの実力なんだろう?
……興味があるな)」
二人のガールズトークを盗み聞きしていた森川くんが、心のなかでそうつぶやきました。