「ところで、マコちんの話なんだけど…」
「ブッ…!!」
星くんは口に入れたもやしを、吹き出しそうになります。
「み、岬さんの話ですか……なんでしょう?」
「彼女、入社当時に配属先が決まらず、私のところで面倒みてたのは知ってるわよね?」
「はい。当時は水木さん、総務にいらっしゃったんですよね」
星くんは、残りのもやし炒め定食を平らげると、お茶を飲んで一息つきます。
「半年くらいかな?
業務部に正式配属されるまでの間だけど、電話の応対から、名刺の渡し方まで、
私が手取り足取り教えたわ。
あんな素直で飲み込みが早い子、初めてだったわよ」
「わかります。
業務に来てからも大車輪の活躍で、ずいぶん助けてもらいました」
「あの頃から彼女、VBAに熱心だったわ。あの時なんて…」
水木さんが懐かしそうに、当時を振り返りながら話します。