八木くんの説明会の翌日、森川くんは机に向かって熱心に本を読みふけっています。
「(八木さんがスゴイのは先輩や星主任から聞いてたけど…、まさかあれほどとは…。
俺も早く、あの人に追いつかなきゃ…)」
VBAエキスパートのテキストを見つめながら、森川くんは強いあせりを感じていました。
「森川くん、がんばってるじゃない。
もう、スタンダードに挑戦するの?」
通りがかった岬さんが、後ろから声をかけます。
「あ、先輩……。
はい、そのつもりです。
…昨日の八木さんの講義を聞いてたら、実力の差が天と地ほどあることがわかったっス。
とりあえずスタンダードをとって、少しでも追いつこうかと…」
「あなたなら、普通にやってても追いつくと思うけどね……。
まあ、やる気があるのはイイことよ。
…八木さんは、もう10年もVBAをやってるベテランだから、
まだ半年も経たないあなたと、差があるのはあたりまえよ」
「…八木さん、10年もVBAやってるんですか?すげえ…!!
じゃあ…星主任も、10年くらいやってるんですか?」
岬さんはちょっと、小首をかしげました。
「あの人は………、もうじき2年になるくらいじゃないかしら?
泉さんなんか、VBA始めてから1年も経ってないはずよ」
「ええええっ!!??
……それなのに2人とも、あんなに開発できるんっスか!?」
森川くんは、2人がVBAを始めてから日が浅いことにショックを受けました。
それと同時に、努力すれば1~2年で追いつくことができると知り、
沸々とやる気が湧いてくるのでした。