「イズミーン、おはよー!元気してたー?」
「ゲッ……!ミズっち、何しに来たのよ……」
泉先輩はそう言うと、露骨に顔をしかめて後ずさりします。
どうやら彼女は、水木さんのことが苦手みたいです。
「なによ。久しぶりだというのにご挨拶ね。
今日はVBAの勉強に来たのよ」
「VBAの勉強?あなたが…?」
泉先輩はいぶかしげな眼で、水木さんを見つめます。
「そうよ。マコちんに教えてもらうの。
…それとも、イズミンに教えてもらうほうがいいかしらね?」
水木さんは不敵な笑みを浮かべながら、泉先輩の顔をのぞき込みます。
「…や、あたし忙しいから…。
それにホラ、教えるのは彼女のほうが得意だから…ね」
泉先輩は後ずさりしながらそう言うと、そそくさとその場を立ち去っていきます。
「(すげえ。先輩にも苦手な人って、この会社にいるんだ……)」
星くんは感慨深げな表情で、2人のやり取りを眺めていました。
「じゃあマコちん、今日はよろしく!
VBAの初心者だから、お手やわらかにね」
「は、はい!水木先輩…。
それでは、こちらにどうぞ……」
岬さんはそう言うと、自分のデスクに、水木さんを案内しました。