「私は、VBAで開発を行うわけではないから……。
技術的なことよりも、VBAが他の言語に比べて優れている点や、
業務の中でどう役に立つのかを中心に、レクチャーしてもらえると嬉しいわ」
水木さんはニッコリと微笑みながら、そう言いました。
「わかりました。
では午後は、そのあたりを中心にレクチャーします」
岬さんがそう言い終わると同時に、昼休みのチャイムが事務所に鳴り響きました。
「あ、水木さん…」
食事のために一旦戻ろうとする水木さんに、星くんが声をかけました。
「VBAの勉強後で結構ですので、少し相談にのっていただきたいことがあるんです。
後でお時間よろしいですか?」
「お、なんだ青年。恋バナか?
お姉さんでよければ、相談にのるぞぉ」
水木さんが、ふざけた口調で返します。
「い、いえ。恋バナではありません。
基幹システムのデータ出力に関して、教えていただきたいことがあるんです」
「なんだ、つまんない。
いいわ、16時くらいに切り上げるつもりだから、その後で良ければ、時間を作るわよ」
「ありがとうございます。
では、よろしくお願いします」
星くんはペコリと頭を下げました。