翌日になりました。
今日は、八木くんが出社する日です。
「昨日は結局、何の用で社長室に呼ばれたの?」
朝一で起動したパソコンの画面をながめながら、泉先輩が星くんに尋ねます。
「…えっとですね……かいつまんで言うと。
"IT企画室のこれからの働きに期待している"、…というお話でした」
「すごいじゃないですか。
社長からも期待されてるんですね、あたしたち!」
泉先輩のとなりで、ミーティング用の資料をコピーしている岬さんが、嬉しそうに言います。
「…期待されるのはありがたいけど、それを私たちの"評価"に反映してほしいわね。
……例えば、"昇給"とか…」
泉先輩がため息まじりでそうつぶやくと、星くんが苦笑いをします。
少し離れた席では八木くんが、星くんたちの会話を、聞くともなしに聞いていました。