「驚いた!あのマコちんが……、偉くなったわねえ。
じゃあ私も、彼女にVBAを教えてもらおうかしら?」
水木さんが、くったくのない笑顔でそう言います。
「(ああ…そっか、水木さんは岬さんが総務に仮配属されてたときの、指導係だったっけ……)
はい。岬さんも、きっと喜ぶと思います」
「そう?…じゃあ、そのうち顔を出すから、マコちんによろしく言っといてね」
星くんと軽く会釈を交わすと、梶田部長と水木さんは、その場を離れていきました。
「ぶえっくしょん!」
岬さんが、大きなくしゃみをします。森川くんが心配そうに声をかけました。
「大丈夫っスか?先輩。
…今、カゼが流行ってるんで、気をつけてくださいよ」
「大丈夫、大丈夫。
…変ね、カゼなんて引いてないのに。
誰か変なウワサでもしてるのかしら?」
岬さんは、ハンカチを取り出して鼻のあたりを押さえます。
「えっと、どこまでいったかしら?
…ああ、オブジェクト変数にオブジェクトを格納するところまでね。
このへんなら、簡単に理解できるでしょ」