「現在、問題なくやれていることなのに、なぜ新しい部署を設ける必要があるのかね?」
社長が、苦虫をかみつぶしたような顔で岩田部長に訪ねます。
「業務改善の一環としてではなく、業務として社内システムの開発を行えるようにするためです」
「…では、彼らの今の業務は誰がこなすのかね?
そのために人を増やすのか?」
「彼らの業務はVBAによって、今までの十分の一以下の作業量になっています。
他の部員が片手間にやってくれていますよ」
岩田部長が涼しい顔をしながら、そう答えます。
それでも社長は、執拗に食い下がります。
「しかしだね…。
そうやってVBAでどんどん効率化していったら、間接部門はそのうち…
やることがなくなってしまうんじゃないのかね?」
岩田部長は一瞬、あっけにとられたような顔をしました。
「…そのときは、直間比率を見直せばよろしいでしょう。
……他にも営業のメンバーを増員するとか、独自の商品を開発するとか…、
やれることはいくらでもあるかと思いますが…」
「~~~~~!」
社長は腕組みをして押し黙りました。
自分がイメージしていた業務改善より遥かに大きな可能性を、VBAのシステムが秘めていることに、
今さらながらに気がついたのです。
「わしもチョットええかの…?」
今まで押し黙っていた米谷顧問が、初めて口を開きました。