「先日は水木が、ご迷惑をおかけしました」
定例会議を終え会議室から出たところで、梶田部長が岩田部長に声をかけます。
「いえいえ。
何かあれば、またいつでもおっしゃってください」
「…そういえば、水木から聞いた話ですが……
基幹システムとVBAの連携を、構想されているとか?」
岩田部長が、キョトンとした顔をします。
「…星が、そのように申しておりましたか?
今のところ、私の耳には入っておりませんが?」
「そうですか…。
これは、水木の早とちりだったかな?」
梶田部長が、気まずそうな顔をします。
「…いや、進行中の案件の報告は受けておりますが、
未着手のものは、私も把握しておりません。
…連携が可能だという話でしたか?」
「水木が聞いた話では、できそうだということでした」
廊下の中央に立ち止まり、岩田部長が梶田部長を真剣な表情で見つめます。
「…もし可能であれば、すばらしいことです。
…電算室のお力添えを、いただけますか?」
「もちろん、全面的にバックアップしますよ。
…ぜひとも、実現させましょう!」
梶田部長が差し出した右手を、岩田部長がしっかりと握りしめました。