その頃事務所では、泉先輩と岬さんが、食後のティータイムを満喫しています。
「水木先輩が、IT企画室に参画なんて胸熱ですね。
いよいよ、全社規模になってきたって感じです」
岬さんが興奮した表情でそう言うと、泉先輩は白けた目つきで彼女を見返しました。
「そう?……あたしは面白くないけどね。
…あなた総務で、ミズっちが教育係だったんだっけ?」
「はい。手取り足取り、いろいろと教えてもらいました。
…泉さん、水木先輩のこと苦手なんですか?」
「ブッ…!」
泉先輩が、お茶を吹き出します。
「いや、別に苦手とかじゃないけど。
ねえ……あなたが総務にいたときミズっち、あたしについて何か言ってなかった?」
「泉さんについてですか?
そうですねえ……ああ見えて意外とひょうきんな人だよって、言ってたような…」
「ひょうきん!?…具体的には!??」
泉先輩が血相を変えて、岬さんを問い詰めます。
「…え?具体的には、何も。
…何か、思い当たるフシがあるんですか?」
「………いえ別に。
無ければ別に…イイわ」
泉先輩は落ち着きを取り戻すと、澄ました顔でお茶をすすりました。