「ふむ…」
岩田部長はメガネの端をつまむと、クイッと掛け直します。
「書き戻しは、運用している基幹システムの動きに影響を与えるからな…。
慎重に行うべきだ。
……費用の件は、こちらに任せておけ」
「小規模のシステムから連携を始め、半年ほどかけて、
主要なExcelシステムのデータを、基幹システムと同期させる予定です。
書き戻しは、来年度以降のチャレンジになるかと…」
「承知した。
基幹システムに影響するとなれば、どのみち全社的な動きをするしかない。
社長の承認も必要だしな。
…絵に描いた餅にならないよう、まずはデータの読み込み、しっかりと進めてくれ」
岩田部長は席を立ち上がると、
「…ヒヨッ子だったお前が……。
知らない間に、成長したものだな」
振り返りざまにニヤリと笑いながら、そう言いました。