「星の言うところ、そのようです。
…ただ常に同期するわけではなく、早朝など、一日一回になるようですが…」
「当面は、それで十分でしょう。
基幹システムが閉じた世界で動いている以上、今のままでは永久に、現実のデータと噛み合いません。
…しかし現場の人間が、VBAのシステムから正しいデータを戻してやれば、
まだまだ基幹システムは現役で運用が可能です」
「そのとおりですな」
岩田部長は、梶田部長の言葉に大きくうなずきます。
「…そこで相談なのですが…。
インポート機能を外注する際の費用、
電算室とシステム企画室で折半させてもらう形では、いかがでしょう?」
「それは…」
梶田部長が言葉をつまらせます。
「…ウチとしてはありがたい話なのですが、よろしいのですか?
本来であれば、電算室が負担すべき経費ですが…」
「この話、電算室とシステム企画室が二人三脚しなければ、実現することは不可能です。
折半は当然ですよ。
その代わり経営戦略会議では、ぜひ梶田部長の心強いお力添えがいただきたいですな」
「もちろんですよ。
電算室としてもこの話、ぜひとも実現させたいと思っています」
梶田部長は椅子から立ち上がり、岩田部長に右手を差し出しました。
「ありがとうございます。
ぜひ実現させましょう」
岩田部長も立ち上がると、梶田部長の手をしっかりと握り返しました。