「そうなのよ。
……でも旅行後の写真配布で、宴会のときのあたしの写真が一枚も無かったの。
カメラのSDにも残ってなかったって。
……おそらくミズッチが、全部消しといてくれたんだと思う」
星くんはホッと安堵の表情を浮かべます。
「よかったじゃないですか先輩!
……水木さん、いい人ですね」
泉先輩が星くんをジロリとにらみます。
「何言ってんのよ、あんた。
…ミズッチの性格を知らないから、そんなのんきなこと言えるのよ。
……彼女がデータを完全に削除したとは限らないでしょ。
もし、あたしたちの披露宴で、"想い出のアルバムです"なんて、公開されたら…」
「いやいや…。
いくらなんでも、そんなひどいことしないと思いますよ」
星くんがあきれながら、苦笑いをします。
「あのデータをミズッチが持ってる限り、あたしは彼女に頭が上がらないの。
……それがあなたには、避けてるように見えたのね」
「わかりました、そういうことだったんですね。
…写真の件はとりあえずおいといて、岩田部長に仲人を頼む件、
そろそろ進めてもいいんじゃないですか?」
「そうね…式の日取りとか、決めなきゃいけないことが目白押しだし…、
そろそろ進めてもいいかもね」
星くんを見つめながら泉先輩は、はにかんでそう答えます。
「……おはようございまーーす!合格したっスー!!……」
そのときです。
森川くんの大きな声が、資料室の方まで響いてきました。