将来の有望株?
「岬さんの話だと、ものすごい勢いでVBAをマスターしていってるらしいわよ?
さすが、情報学科卒ねえ。
……将来の、有望株かもよ?」
「えっ、そうなんですか?」
江口さんは少し、興味ありげな顔をします。
「にひひ…。でも彼、岬さんに気があるみたいよ。
ひと目見て、ビビッと来ちゃったんじゃない?」
「あ、それ私も思ったっす。
彼のみーくんを見る目、"フォーリンラブ"って感じですよねえ~」
「ブッ…。"フォーリンラブ"って……おやじギャグ?」
うららかな春の昼下がり、二人の黄色い笑い声が給湯室にこだまします。
「ワークシート同様、ブックも開いた順に1、2、3…と番号が振られるのよ」
岬さんがテキストの163ページを開いて、そう言います。