これは、見過ごせないな…
一方その頃、
「あった、あった。
備品一覧に記載されてなかったPC、こんなところでホコリを被ってたのか…」
梶田部長が資料室の棚の奥から、行方不明になっていたPCを引っ張り出します。
「もうOSが古いから使えないか…、もったいないけど廃棄かな」
そのときです。
資料室の外から、聞き覚えのある声が耳に飛び込んできました。
「……取締役、おはようございます。
金曜日はありがとうございました」
「……金曜の件なんですが、……社長と話し合ってみたんですが、その…」
「……よい感触では……ですか?」
「ええ。…ここではアレなので…」
若が近くにある会議室を指さします。
二人はそそくさと、会議室の中へ入っていきました。
「………ふん」
資料室のドアをわずかに開け、梶田部長は険しい顔つきで二人を凝視します。
「…何をコソコソやってるんだ、業務部は……。
またぞろ、例のVBAとかいうやつか……。
しかし、若にまでちょっかいを出すとなると、これは見過ごせないな…。
ここらで一つ、お灸をすえてやらねば…」
梶田部長は眉間のシワを一層深くしながら、そうつぶやくのでした。