翌朝の会議室で
翌朝、会議室に岩田部長の大きな声が鳴り響きます。
「なんだって!!断られたあ~~~!?」
「はい。自分の夢に向かって進んでいるので、今は就職する気は無いそうです」
「うっ、ぐぬぬ………」
岩田部長は、苦虫をかみつぶしたような顔をしています。
「まさか、本当に断ってくるとは……。
星!おまえ、ちゃんと説得したんだろうな!?」
「はい。彼は、昔からがんこな性格で…、一度言い出すと聞かないんですよ」
星くんは肩をすくめて、お手上げのポーズをとります。
「……そうか、わかった。
星、これからも彼と会うたびに、それとなく打診して反応をうかがうんだ。いいな?」
「ぶ、部長。今も言いましたが、あいつはがんこな性格で…」
「だからどうした。一回、断られたくらいでなんだ。
そのうちまた、気が変わるかもしれんだろう?
…しつこく、何度も繰り返すんだ!」
「(さすが部長。"営業の鬼"と異名をとってたのはダテじゃないなあ…)」
星くんは岩田部長が若いころ、客先から「営業の鬼」と呼ばれ、
一目置かれていたという逸話を思い出しました。
「…わかりました、部長。
今後も機会があるたび、それとなく触れてみます…」
星くんは、力なくそう答えました。