進捗状況を報告しよう
「…にて動作テストを完了。来週中には図面管理システムをリリースします。
部品手配通知システムと在庫管理システムは、引き続き開発を行う予定です。
…以上になります」
週一で行う岩田部長への進捗状況の報告を終え、星くんは大きく深呼吸しました。
「うむ…。順調に進んでいるようだな。ごくろう」
「では来週も引き続き、プロジェクトを進めます。
よろしくお願いします」
星くんが席から立とうとすると、岩田部長は待ったのジェスチャーをしました。
「…星。
チームが発足してから、かれこれ半年になるが、今まで開発したシステムは全部でいくつになる?」
星くんは上目づかいで天井を見つめながら、
「…そうですねえ。大小含めるとざっと8システムほどでしょうか…。何か?」
と答えます。
「いや…いいんだ。この調子で、がんばってくれたまえ」
星くんはぺこりとお辞儀をすると、静かに会議室から退室していきました。
一人になった岩田部長は、すっかり秋めいた窓の外に目をやります。
「半年で8システム。十分すぎる成果だが………少し急ぎすぎたか…」
岩田部長は、つぶやきました。
「…VBAのシステムは、すでに業務の中核を担うようになりつつある。
そして今後、ますます、その重要性を増していくだろう。
………5年後、10年後を考えたとき、やはり誰か、VBAの体系的な知識を身につけた人間が欲しい。
…それはおそらく、星をおいて他にいないだろう。
…彼の教育に、十分な時間を割いてこなかったのは………不覚だったな…」
日脚の短くなった夕刻、斜陽が鮮やかな黄金色に建物を染めていきます。