会議室に来てください
「星さん!
……岩田部長とオーグチさんが、会議室に来てくれって言ってますよ!!」
回想にふける星くんに、背後から岬さんが声をかけます。
「へ。部長とオーグチさんが?
…修正なら2日ほど時間をくれるって言ってたし……いったい、何の用だろ?」
キョトンとする星くんの脳裏に、なんとなくイヤな予感が走ります。
急ぎ会議室に向かった星くんは、ドアをノックして中に入りました。
「失礼しまーす…」
会議室の中では、岩田部長とオーグチさんが、何やら熱心に話し込んでいました。
「星、来たか。座れ、座れ」
岩田部長が、手招きをして星くんを呼び寄せます。
「小口くんから話しを聞いたが。
お前の作った規格入力フォーム、すごく便利らしいじゃないか」
オーグチさんが横から、説明を付け加えます。
「今までは、"今からフォームを使う"というタイミングで、マクロを実行してフォームを表示する必要があったけど、これは、"ここでフォームが使いたい"というタイミングで、勝手にマクロが動いてフォームを表示するだろ。
…これってアイデア次第で、いろいろな使い方に応用ができるし、システムの生産性を大きく向上させる可能性があると思うんだよ」
「(オーグチさん、俺と同じこと考えてら…)」
星くんは、心の中でつぶやきながらプッと笑いました。
「それでだな、星。
今回のような仕組みを、既存のシステムに水平展開してほしいんだ。
仕様については、小口くんのほうで考える。
これを、試験勉強の合間にやってくれ」
「で、でも部長…。
資格を取るまでは新規開発はなしで、"修正と不具合対応だけ"だったはずでは…」
「こんなの、既存システムの修正の範囲だろう?」
「…い、いえ。
思いっきり機能追加なので、修正の範囲を超えているかと…」