大事なお話って…なんでしょう?
星くんと岬さんが、会議室のイスに腰掛けます。
岩田部長は腕を組み、星くんの顔をジッと正面から見つめます。
「大事なお話って…なんでしょう?部長?」
「…………………………」
岩田部長はなおも無言で、星くんを見つめ続けます。
しばらく沈黙が続き、会議室に重苦しい空気が漂い始めました。
「………あの」
たまりかねた星くんが何か言おうとしたとき、部長がようやくその重い口を開きました。
「…端的に言おう。星、業務命令だ。おまえ資格をとれ」
「へ!?」
星くんはポカーンと口をあけ、真ん丸に目を見開いたまま固まります。
「…資格というのは、当然、VBAの資格のことだ。
今日の昼休み、岬くんから教えてもらった。
…なんていったっけ?…V、VBA…エクササイズ…?」
「VBAエキスパートです」
岬さんが吹き出しそうな顔で、訂正します。
「…そう、それ!それをとれ!
…なんだっけ、基礎と応用があるんだったな」
「はい。ベーシックとスタンダード、2つのレベルがあります」
二人の会話を聞く星くんの背中に、イヤな汗がジワーッと滲みます。