コーヒーが冷めちゃいますよ
頭から湯気を出している八木くんに、岬さんが声をかけます。
「八木さん、コーヒーが冷めちゃいますよ~。
…ドーナッツ、おいしい~♪」
八木くんはギクシャクしながらも、なんとか岬さんの前に座りました。
「い、いただきます。ドーナッツ」
「どうぞ、どうぞ。
………ところで八木さんって、彼女いないんですか?」
ブホッ…!!
激しく八木くんが咳きこみます。
八木くんは一瞬、心臓が止まるかと思いました。
「…ゴホッ!ゴホッ!
………いまだかって、そのような方が存在したことはありませんが…」
「…へえ~。そうなんですか?
モテそうな感じなんですけどね~」
いたずらっぽい目をしながら、岬さんはドーナッツをパクつきます。