あたしは、やってみようかしら
「…あたしは、やってみようかしら。その、勉強会…」
岬さんがやっと、口を開きました。
「先輩、岬さんもこう言ってくれてますし…どうでしょう?
みんなでやりませんか?」
泉先輩がうっと喉を鳴らします。
「(星くんとこの子を2人きりにするのは危険かも………。
あ、でも…八木なんちゃらってのがいるんだっけ…。
なら…大丈夫か…)」
しばらく考え込んでいた泉先輩ですが、気持ちは変わらないようです。
「…や、やらないわよ!
さっきも言った通り、あなたたち二人でスタンダードを取得してちょうだい。
…勉強、がんばってね!」
がっかりした表情で先輩を見つめる星くんとは対照的に、岬さんは上機嫌です。
定時のチャイムが鳴り響く中、星くんは岬さんに声をかけます。
「着替えが終わったら、正門のところで待ち合わせようか。
…あっと、悪いけど、ベーシックのテキストを貸してもらえるかい?
ネットで注文したけど、まだ届いていないんだ」
「あ、はい。もちろんです」
二人は待ち合わせると、一緒に八木くんのマンションに向かいました。